血便の原因と考えられる病気とは?予防・対処法まで詳しく解説
2018.08.11
血便の原因はさまざまなことが考えられます。
排便の際に、お尻を拭いたとき、便器をのぞいたときに血が出ていて不安になったことはありませんか?
その血便は何かしらの病気のサインかもしれません。
今回の記事では、血便の原因と関連する病気や特徴について詳しく紹介します。
血便とは…?
血便とは、一般的に血液の混じった大便を意味します。
また、血液の混じった大便が肛門から排出されるものを「下血」と呼びます。
消化管内の出血によるもので、出血の部位や量によって、鮮血色(赤色)の「血便」から黒色の「タール便」と色によって分類されます。
血便の原因とは?
血便は、大腸や肛門、下部小腸などからの出血が主とされ、タール便は、出血部位が胃や十二指腸より上の出血の場合に真っ黒な便が出るとされています。
日常生活で「食あたり」してしまい血便を伴うこともありますが、疾患や病気などが原因のケースもあります。
血便時に考えられる疾患や病気には以下のものがあります。
- 痔(内痔核)
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室症
- 十二指腸潰瘍
- 胃潰瘍
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 炎症性腸疾患
- 感染性腸炎
- 薬剤性出血性腸炎
このように血便と因果関係のある疾患や病気は多く存在するのです。
どのようなことが原因なのか症状なども踏まえて具体的に見てみましょう。
痔(内痔核)
裂肛(切れ痔)・痔核(イボ痔)でも血便になることがありますが、痔の症状で血便を伴う場合は内痔核がほとんどです。
内痔核の原因は、肛門に対して過度な刺激が加わることで発症します。
長く続く下痢や便秘により長時間いきむ習慣のある方、妊娠中の方などが発症しやすいとされています。
内痔核は、直腸の粘膜に内出血が生じ、イボ状になることを指し、内痔核を発症すると、排便時に出血をしたり、イボ状の病変が肛門の外に出てしまったりすることもあります。
内痔核が常に肛門の外に出てしまうような状態になってしまうと、激しい痛みを伴うこともあるので注意が必要です。
内痔核は早期に治療することで感知させることが可能な病気なので、受診をためらわず、早い段階で医師にみせるようにして下さい。
虚血性大腸炎
虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)は、大腸の血流障害が原因で大腸粘膜に炎症や潰瘍が発症してしまい、腹痛と下痢・下血を来たす疾患です。
この疾患は、血管側と腸管側それぞれの問題が複雑に絡み合い発症するとされています。
血管側としては、動脈硬化や血栓・塞栓など関係し、主に高齢者、糖尿病、高脂血症などの動脈硬化や血流低下をきたす基礎疾患を持つ方が発症しやすいとされ、腸管側としては、慢性便秘や浣腸などによる腸管内圧の上昇などがあります。
虚血性大腸炎の治療は、基本的に入院治療になり、腸管の安静と全身状態を良好に保つための対症療法を行います。
大腸憩室症
大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)も血便を伴うことがあります。
大腸粘膜の一部が腸管内圧の上昇により嚢状に腸壁外に突出し、大腸憩室が多発した状態の症状をいいます。
主な原因は、大腸内圧の上昇があげられ、食生活の乱れにより、食物繊維の摂取量が減少することで便秘や腸管のれん縮、腸管内圧の上昇を起こし発症すると考えられています。
身体に変化を感じない無症状であれば、治療の必要はありませんが、腸運動などに異常がみられるような場合は、薬物の投与を行い治療します。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、主に十二指腸の入り口の壁が傷ついてしまう病気です。
十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌が活発で分泌量の多い人がかかりやすく、最近の研究では、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が、十二指腸潰瘍の発症や再発に深く関係していると指摘されています。
主な症状は、みぞおちの痛み、重苦しさ、吐血、血便などがあります。
治療法としては、ピロリ菌が確認できた場合は、ピロリ菌を除去する治療、ピロリ菌以外が原因の場合は、何が原因なのかを検査した上で適した治療が行われます。
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃酸により、胃粘膜を消化し、胃の壁がただれて傷ついてしまう病気です。
主な症状は、みぞおちから左にかけて出る鈍い痛み、胸やけ、すっぱいゲップ、吐き気、場合によっては血便を伴うことがあります。
バリウム検査や内視鏡検査で潰瘍の有無を確認してから適した治療を行います。
症状が深刻な場合は、入院や手術が必要になるケースも稀にあります。
大腸がん
大腸がんは、大腸の結腸・直腸・肛門に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するケースと、正常な粘膜から直接発生するケースがあります。
日本人ではS状結腸と直腸に癌ができやすいといわれています。
早期の段階では自覚症状はほとんどないため気づきにくく、進行することで、血便や下血による赤黒い血が出たり、下痢と便秘が繰り返されたり、腹痛、貧血、体重減少などを起こし発見されることが多いです。
そのまま放置して進行が進むと他の臓器に転移する可能性があるので、早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診し専門医に診てもらうようにして下さい。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、良性のもので、悪性ではない腫瘍以外の炎症性ポリープや過形成性ポリープのことです。
大腸ポリープはほとんどの場合、患者が自覚する症状がないので無症状と言えますが、肛門の近くにポリープができると、血液のまじった便(血便)が出たり、粘液のようなものが付着した便が出たりすることがあります。
大腸内視鏡検査を行い、内視鏡を肛門から入れることで病変を直接みてから、形や大きさ、血管の模様などを確認し、治療が必要かどうかを判断します。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎の原因不明の疾患で、消化管に炎症をおこす慢性疾患の総称です。
根本的な治療が存在しない慢性の病気で、医療費の公費負担を受けることができる特定疾患に指定されています。
免疫システムが過剰な反応をして消化管を攻撃してしまうため、潰瘍性大腸炎では大腸、クローン病では小腸、大腸をはじめとして消化管のさまざまな部位が侵されてしまいます。
治療には、抗炎症作用のある薬、5-アミノサリチル酸、副腎皮質(ふくじんひしつ)、ステロイドや免疫を抑える薬のアザチオプリン、タクロリムス、抗TNFα抗体などが使用されています。
感染性腸炎
感染性腸炎は、多種多様の原因によるものを包含する症候群です。
病原体が腸管に感染して発症する疾患で、細菌、ウイルス、寄生虫などがあります。
食品や汚染された水、ペットやヒトからの接触感染などから発症します。
感染性腸炎は下痢、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などの急性胃腸炎症状があらわれることが多く、血便を伴うこともあります。
薬剤性出血性腸炎
薬剤性急性出血性腸炎は、抗菌薬の使用後に発症することがある大腸の炎症のことです。
症状としては、急な発熱・腹痛・下痢・下血・血便などがあります。
検査は、血液検査・画像検査・内視鏡検査を用いて診断し、感染の原因となった細菌を調べるために、便の細菌培養検査やCDトキシン迅速検査を行うことがあります。
抗菌薬の使用を中止しても症状が治らないような場合は、メトロニダゾールやバンコマイシンを用いた治療が必要となります。
血便の予防法
血便を予防する方法は、定期検診や健康診断を受けることです。
疾患や病気には、自覚症状があらわれにくく、気がついたときには悪化していることも多く、早期発見であれば100%と治癒するものも完治が難しくなってしまうこともあります。
どの検査も比較的簡単な検査なので、定期的に病院で受けるようにして下さい。
血便の対処法
血便になってしまった際はどのように対処法すればよいのでしょうか。
痔などであれば、市販薬の坐剤や軟膏、注入軟膏など患部に直接塗るタイプから内服薬で症状を抑えることができるので薬局の薬剤師の方に相談してみると良いです。
疾患や病気の疑いがある場合は、やはり病院の診察を受けることが大切です。
初期の段階、早期発見が完治させるためのポイントとなるので、一番の対処法と言えます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、血便の原因と考えられる病気について詳しく紹介してきました。
血便は健康のことを考えると、軽く考えるべき症状ではありません。
今回案内してきた疾患や病気のように血便がでる段階では病状が進行しているケースも考えられます。
少しでも何かおかしいなと感じるような場合は、専門医による医師の検査を受けるようにして下さい。
この記事、このページの情報参考にし、便潜血対策を行うようにして下さい。