四君子湯(シクンシトウ)の効能と服用方法を解説

2018.03.17

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四君子湯(シクンシトウ)は、痩せていたり体力がなく顔色も悪く食欲がない人の胃腸の病気に対して処方されるお薬です。

元気がない、つまり、「気」が足りていない(漢方では「気虚」と言います)人の気を補う湯剤です。

湯剤は、本来は生薬を水で煮出して温かいお湯として飲む「煎じ薬(せんじぐすり)」ですが、現在は成分を抽出して飲みやすくしたエキス剤顆粒としても売られています。

以下、四君子湯について詳しくみてみましょう。

四君子湯の歴史

四君子湯は『和剤局方』という宋の時代の医薬品処方集に記載されているお薬です。西暦だと1100年頃の本です。

漢方の有効成分となる生薬を「君薬(くんやく)」と言います。

高位高官の偉い人や人格者を「君子(くんし)」と言いますが、そういう感じの生薬が「君薬」です。

「四君子湯」は人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)の4種類を優れた生薬を君薬とするので「四君子湯」というわけです。

四君子湯の成分

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四君子湯は、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)に生姜(ショウキョウ)と大棗(タイソウ)という生薬を加えた6種類の生薬からなるものです。

人参

人参はオタネニンジン(Panax ginseng)の根です。

オタネニンジンはウコギ科トチバニンジン属の多年草で、朝鮮ニンジンや高麗ニンジンと呼ばれるものです。

言うまでもなく、あのオレンジ色の野菜のニンジンとは別物です。

ちなみにもともとニンジンと呼ばれていたのはオタネニンジンの方でした。

江戸時代以後、野菜のニンジンが日本で普及していきました。

こちらはセリ科なので最初はセリニンジンと呼んでいたのですが、次第にセリニンジンの方が普通になり、単にニンジンと言うとセリニンジンの方になり、逆に本来のニンジンは朝鮮ニンジンや高麗ニンジンと呼ばれるようになったのです。

ついでに言うと、「参鶏湯(さむげたん)」という韓国料理の「参」は高麗ニンジンの方です。

生薬の人参は、「補薬の王」とも呼ばれます。

文字通り体力を補う滋養強壮効果がある生薬です。

甘草

甘草はカンゾウという植物(何種類かあります)の根を乾燥させたものです。

カンゾウはマメ科カンゾウ属の多年草で、甘い味がします。

欧米ではリコリス(スペインカンゾウ)と呼ばれます。

同じくリコリスという名前のお菓子がありますが、これはリコリスの甘味を使ったお菓子です。

甘草も漢方では非常によく使われる生薬で、日本で販売されている漢方薬の7割近くに甘草が含まれていると言われています。

甘味料としての働きのほか、緊張を緩和するとされており、鎮痛、鎮痙(ちんけい)、解毒などの作用があります。

白朮

白朮はオケラ(Atractylodes japonica)やオオバナオケラ(Atractylodes ovata)の根茎を乾燥させたものです。

オケラもオオバナオケラも、キク科オケラ属の多年草です。

白朮は健胃整腸作用があるほか、利尿や発汗効果があります。

なお、白朮ではなく蒼朮(ソウジュツ)を使用している国内メーカーもあります。

蒼朮はホソバオケラ(Atractylodes lancea)やその変種の根茎を乾燥させたものですが、白朮とは作用が異なるともされています。

茯苓

茯苓はマツホド(Wolfiporia extensa)の菌核の外層を取り除いたものです。

マツホドは、サルノコシカケ科ウォルフィポリア属の菌類で、アカマツやクロマツ等に寄生します。

菌核は、菌糸が集まって固まったものです。

菌糸が集まっているという点ではいわゆるキノコに似ています。

もっとも、キノコは胞子をつくる子実体ですが、菌核は胞子をつくりません。

茯苓は、利尿作用や鎮静作用があり、いろいろな漢方薬、例えば、安中散、桂枝茯苓丸、八味地黄丸などにも使われています。

生姜

生姜(ショウキョウ)はショウガ(Zingiber officinale)の根茎です。

ショウガはショウガ科ショウガ属の多年草で、こちらはいわゆる生姜(ショウガ)と同じものです。

生姜は、身体を温めたり、ある種の細菌の増殖を抑える効果があると言われています。

大棗

大棗はナツメ(Ziziphus jujuba)の実を乾燥させたものです。

クロウメモドキ科ナツメ属の落葉高木です。

大棗は強壮作用や利尿作用があるほか、生姜(ショウキョウ)と一緒に処方すると副作用を抑える効果があると言われています。

割合としては人参、白朮(または蒼朮)、茯苓を各4の割合に対し、甘草、生姜と大棗を各1.5の割合で含みます(重量比)。

四君子湯の働き

次は、四君子湯の体への働きを見てみましょう。
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四君子湯の有効成分はどう働くのか

漢方では、身体を気・血・水という3つの要素で捉えます。

気が足りないのは「気虚」という状態です。

気を補うのが人参です。韓国では、参鶏湯(さむげたん)などの料理に使われているように、消化や吸収を高める効果もあります。

白朮(蒼朮)と茯苓は、利尿作用や発汗作用があるため身体から無駄な水分を除去します。

大棗にも無駄な水分を除く作用があります。このため、四君子湯は下痢や軟便にも効くとされています。

生姜は、身体を温め、胃腸の働きも整えます。

甘草は大棗とともに以上の生薬の働きを緩和します。

四君子湯が処方される人

四君子湯は「体力がなく顔色も悪く食欲がない人」に処方されます。

漢方では、こういう区分がよく出てきます。これを「証」と呼んでいます。

「証」と言うと、西洋医学でよく言う「エビデンス」のように受け取られてしまうかもしれませんが、そういう意味ではなく人の体質です。

四君子湯が適用される「証」は「虚実」で言えば虚証、「寒熱」で言えば寒証、「気血水」で言えば気虚(疲れやすく気力が落ちている)の人です。

こういう人の全身倦怠感や疲れやすさに、また、胃腸の調子がすぐれなかったり、慢性胃炎、胃のもたれ、嘔吐、下痢などの症状にあるときに処方されます。

なお、四君子湯と似た漢方薬に六君子湯があり、こちらは水の除去をより強めたものなので、乾燥しやすい人には四君子湯の方が向いていると言われています。

四君子湯を使ってはいけない人

四君子湯で注意すべき点は甘草を含む漢方に共通の問題として「偽性アルドステロン症」と呼ばれるです。

これは甘草に含まれるグリチルリチンによるものです。高血圧、浮腫(むくみ)や低カリウム血症が生じることがあります。

四君子湯の甘草の量はそれほど多くはありませんが、様々な漢方薬に含まれているので漢方薬を併用する場合は、要注意です。

そのほか、妊婦や小児の服用は注意が必要なので、医師が成人に処方した四君子湯をこれらの人に転用してはいけません。

四君子湯はどこで手に入るの?

四君子湯は、医療用医薬品としてツムラなどいくつかの医薬品メーカーから販売されています。

まとめ

四君子湯は体力のない人の胃腸障害に効くお薬です。嘔吐などにも処方されます。

体質改善にも有効ですが、体質改善のためにはある程度時間を掛ける必要があります。